○金山町議会基本条例
令和6年3月15日
条例第5号
(前文)
金山町議会(以下「議会」という。)は、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現のため、金山町民(以下「町民」という。)の意思を町政に的確に反映させ、金山町としての最良の意思決定を導く責任を負っている。
議会が、その責務を果たしていくためには、二元代表制の趣旨を踏まえ、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)と相互の抑制と均衡を図りながら自治体の自立に対応できる議会へと自らを改革していかなければならない。
この自己変革に当たっては、議事機関たる議会はまず、多様な町民の多様な意見を多様に代表できるという合議機関としての特性を最大限に生かし、これまで以上に公平・公正・透明な議会運営や開かれた議会づくりを推進し、情報の提供と共有化を図りながら、町民の積極的な参加を求めていくことが必要である。
議会は、このような町民参加を礎として、町民との活発な意見交換を図り、そこで得られた意見を大切にしながら、金山町議会議員(以下「議員」という。)同士が自由かっ達な議論をたたかわせ、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行評価における論点、争点を広く町民に明らかにすることが求められている。
このような認識のもと、議会及び議員は、町長等との持続的な緊張の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この金山町議会基本条例を制定する。
議会及び議員は、この条例の定めるところにより町民の信託にこたえ、存在感のある議会を築くため、使命感を持って職務に取り組み、活力ある地域社会を実現していくことを決意するものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会の基本理念並びに議会及び議員の活動原則等を定めるとともに、町民と議会並びに議会と町長等との関係を明らかにすることにより、議会の活性化を図り、もって町政の進展及び町民福祉の向上に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、日本国憲法第93条第1項に規定する議事機関として、住民自治及び団体自治の進展を図り、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。
2 議会は、議会及び町長の二元代表制の下、町民の代表として、その信託にこたえるものとする。
(最高規範性)
第3条 この条例は、議会運営における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則、規程等はこの条例の理念に従うものでなければならない。
2 議会は、この条例に定める事項を尊重するとともに、議会に関する現行の条例、規則、規程等の見直しを行い、体系化を図らなければならない。
第2章 議会の活動原則
(議会の責務)
第4条 議会は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対して以下に掲げる責任を果たさなければならない。
(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、町民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民本位の立場から、適正な町政運営が行われているかを監視し、評価すること。
2 議会は、町民に対し積極的にその有する情報を発信して情報の共有を推進しその意思の把握に努めるとともに、以下に掲げる説明責任を十分に果たすものとする。
(1) 町民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、町民参加の機会の拡充に努めること。
(2) 把握した町民の多様な意見をもとに政策提言、政策立案等の強化に努めること。
3 議会は、別に定める規則による町民の議会の傍聴に関し、傍聴者の求めに応じ議案の審議に用いる資料等を提供するなど、町民の議会の傍聴の意欲を高める議会運営に努めること。
4 議会は、活発な議会活動を行うことにより、さらなる議会改革に努めるものとする。
(議長の責務)
第5条 議長は、議会を代表し、公正で民主的かつ効率的な議会運営に努めるものとする。
(議決責任)
第6条 議会は、町の意思決定機関として議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対して説明する責務を有する。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責務を有する。
第3章 議員の活動原則
(議員の責務)
第7条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由かっ達な討議を重んじるものとする。
2 議員は、町政の課題全般について町民の意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、町民全体の奉仕者、代表者としてふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、町民全体の福祉の向上を目指して活動するものとする。
(議員の政治倫理)
第8条 議員は、町民全体の奉仕者として高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、品位の保持に努め、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 政治倫理については、別に定める金山町議会議員政治倫理条例(令和6年金山町条例第6号)によるものとする。
第4章 議会運営
(議会運営の原則)
第9条 議会は、町民に分かりやすく、かつ、円滑で効率的な運営を行うものとする。
2 本会議の一般質問における質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式とする。
3 議長から本会議及び各委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(議会の議決事項)
第10条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の議会の議決事項については、次に掲げるとおりとする。
(1) 金山町総合計画基本構想に基づく基本計画
(2) 議会が二元代表機関の一翼として町の重要施策の決定に参画する必要性があると認める事項
(討議による合意形成)
第11条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会等において、議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、議員相互の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
(委員会活動)
第12条 議会は、社会情勢、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。
2 委員会は、議案等の審査及びその所管に属する事務の調査の充実を図ることにより、その設置目的が十分に発揮されるよう活動を行うものとする。
3 議会は、委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的な識見等を議会の討議に反映させるものとする。
4 委員会は、議会の閉会中においても、積極的な活動を行うものとする。
(調査活動等)
第13条 議会は、町長等の事務が適正に執行されているかについて、必要に応じ、検査、調査等を行うことができるものとする。
第5章 町民と議会の関係
(町民との関係)
第14条 議会は、町民等との意見交換の場を多様に設けて、多様な意見を把握し反映しうる合議体としての特色を最大限に生かし、町民参加の推進に努め、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図り、町民の信託にこたえるものとする。
2 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。
(情報の公開)
第15条 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会のほか、すべての会議を原則公開とするとともに、会期中又は閉会中を問わず、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。
2 議会は、町民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する者に対し議会の保有する情報を公開するよう務めなければならない。
3 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。
第6章 議会と町長等との関係
(町長等との関係)
第16条 議会は、二元代表制の下、町長等と緊張感のある対等な関係を構築し、その事務執行の監視及び評価を行うとともに、積極的な政策の立案及び提言を通じて、町民福祉の向上と町政の発展に取り組むものとする。
2 議会は、町長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。
(政策形成過程の把握)
第17条 議会は、町長等から提案される議案のほか、政策、施策、計画、事業等について、慎重な審議を図るため、その政策等の形成過程の把握に努めるものとする。
2 議会は前項の形成過程の把握のため、町長等に対して必要な情報を明らかにするよう求めることができる。
第7章 議会の体制整備
(議員研修)
第18条 議会及び議員は、議員の資質及び政策形成能力の向上を図るため、積極的に研修及び調査研究に努めなければならない。
2 議会は、研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民等との研修会を開催するものとする。
3 議会は、議員派遣(法第100条第13項の規定による議員の派遣をいう。)を積極的に活用するなど、議員研修に必要な措置を講じるものとする。
(議会内部の情報共有)
第19条 議会は、次の各号に掲げる事項により議会内部の情報共有に取り組むものとする。
(1) 本会議における議長による諸般の報告
(2) 協議又は調整の場における正副議長、委員長、一部事務組合議会議員及び広域連合議会議員などによる活動報告
(3) タブレット端末の使用による調査情報の閲覧
(4) 重要な政策課題に係る会議資料の配付
(5) 政策分野の横断的な町政課題に関する討論の機会の確保
(議会事務局の充実)
第20条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案の能力を高めるため、調査活動、政策立案活動その他議会事務局の充実強化を図るものとする。
(議会広報の充実)
第21条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう、議会広報活動に努めるものとする。
(予算の確保)
第22条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
第8章 議員の身分及び待遇
(議員定数及び議員報酬)
第23条 議員定数及び議員報酬(以下「議員定数等」という。)は、別に条例で定める。
2 議員定数等の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員定数等の条例改正案は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第7項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会等又は議員から提出するものとする。
第9章 補則
(検証)
第24条 議会は、この条例の目的が達成されているかについて、常に検証し、必要に応じて議会に関する条例等の見直しを行うものとする。
2 議会は、この条例を改正する場合には、議員全員が賛同する場合であっても、本会議において改正の理由及び背景を説明しなければならない。
(その他)
第25条 この条例に定めるもののほか、条例の施行に関して必要な事項は規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。